現在の海苔の主な国内生産地域は、有明海、瀬戸内海、伊勢湾、東京湾、宮城エリアなどになっています。皆さんが海苔やおにぎりを買い求める際には、海苔の産地をチェックしてみては如何でしょうか。それぞれの生産地域における環境や養殖技術に違いがありますので、それぞれの海苔の特徴が風味、食感、色などにおいて表れてきます。例えば、日本の生産量の約4割を占める有明海産は一般的に口どけが柔らかいと言われています。
肥沃な干潟を有する有明海は、海苔の養殖に最適な土地であることが知られています。干潮時と満潮時における潮位差は日本一大きく、最大で6mともいわれており、干潮時には海苔が海面から顔を出し、太陽の光をいっぱいに浴びます。有明海には数多くの大きな河川が流れ込んでいて、栄養分豊かな水と土砂を運んできてくれます。これら川の真水と海水が混ざり合い、海苔が最も柔らかく、美味しく育つ塩分濃度が保たれているのです。
昔は東京湾が全国の50%以上の生産を占めていた時期が長く続いていたとの事です。当時の東京湾では、栄養分豊かな水や土砂がたくさんの河川から運ばれ、人々の生活と江戸前の漁業が両立できていたことが想像できます。東京都大田区にある「大森 海苔のふるさと館」では、平成30年3月18日まで、「海苔養殖の一年~昭和の古写真より~」という写真展が開催されていますので、そこで当時の様子を知ることができるかもしれません。
世界で大規模な海苔養殖が行われているのは、日本、韓国、中国の3カ国のみです。見た目では同じように見えるかもしれませんが、それぞれの国にはそれぞれの生産環境や蓄積された技術があり、結果とし成分や味わいにも違いとして現れてきます。世界各地における和食ブームに乗って、「海苔」の認知度は確実に高まってます。生産側においても健全な競争により、栄養価が高く、美味しく、品格ある海苔の生産に注力してもらいたいと思います。
EDO Nori production[/caption]