桜を愛でる季節ですね!いかがお過ごしでしょうか?
11月後半から始まった海苔摘みも終盤を迎えています。今年度は暖冬による高水温や、雨不足による栄養塩不足の影響もあり40年ぶりの不作の年になってしまいそうです。日本国内の生産枚数は2000年頃まで90億枚をキープしていましたが、今年度は60億枚に到達するかどうかといった模様で、とても深刻な状況です。
つい先日に有明の海苔生産者の方と話し合いを持ったこともあり、日本の海苔づくりについて、世界の多くの皆さんに知ってもらいたいと思い、今回のブログを書いています。
現在の主な海苔の産地は、有明海、瀬戸内海、伊勢湾、東京湾、宮城エリアとなっています。皆さんが海苔を買い求める際には、海苔の産地をチェックしてみては如何でしょうか。それぞれの生産により、風味、食感、色などにおいて特徴が違います。
なかでも日本の生産量約4割を占める有明海産は、口どけが柔らかいと言われています。
肥沃な干潟を有する有明海は、海苔の養殖に最適な土地であることが知られています。干潮時と満潮時における潮位差は日本一大きく、最大で6mともいわれており、干潮時には海苔が海面から顔を出し、太陽の光をいっぱいに浴びます。有明海には数多くの大きな河川が流れ込んでいて、栄養分豊かな水と土砂を運んできてくれます。これら川の真水と海水が混ざり合い、海苔が最も柔らかく、美味しく育つ塩分濃度が保たれているのです。
美味しい海苔づくりには、その海域の環境だけではなく、その海域に流れ込む河川周辺の山や森林の環境保全も重要になってくるわけです。更に海水温の影響や水不足といった気候変動的な要素も大きく関わっていることは、今回の海苔の不作により思い知らされました。私たち食べる側が、食材の生産環境や生産者たちの苦労を少しでも知ることで、その食材がよりサスティナブルなものへと繋がるのだと信じています。
海苔づくりの現場では若手人材の不足も深刻化してきているようです。海苔づくりには幅広い知識やスキルが必要とされていて、機械化できる範囲も未だ限られています。顕微鏡を使う細かい作業、真冬の深夜から早朝に寒風吹く海上で行われる摘みとり作業、摘んだ海苔をその日の昼までに専用機械を使い板海苔に加工する作業などバラエティーに富んでいます。
和食に欠かすことのできない美味しい海苔を、長い将来にわたり楽しんでいくためには、新しい取り組みも必要になってくるのではないでしょうか。海水温の上昇が続くと想定した場合には、北海道、東北地方での海苔づくりを拡大する必要があるのかもしれません。今でも北海道のサロマ湖で海苔づくりに励んでいる方がおられます。人材不足の解決策としては、作業のIT化や自動化もひとつの考え方ですが、何といっても海苔づくりが若手人材にとって魅力的な仕事になることが一番だと考えています。そのためには、これまでの慣習だけに固執しない新しいアイデアを柔軟に取り込む姿勢が第一歩だと思います。
縦21センチ、横19センチの板海苔やコンビニおにぎり用の焼海苔が現在の海苔市場の主流となっていますが、海苔はあらゆる形状、様々な加工方法、新しい価値の提案などにより、大きな可能性を秘めた食材です。Japonteは現在、海苔をつかった新商品開発プロジェクトを進行しています。今年の夏ごろには皆さんにお披露目できるのではと期待しています。
私たちJaponteは、世界中の和食ファンや料理人の方々に、日本特有の手作り食材、伝統的食材をお届けして参ります。この活動がビジネスとして成り立つかどうかは未だわかりませんが、価値を感じて頂ける方々と出会えることを楽しみにしています!